LLMO対策ガイド
ChatGPTに自社ブランドが表示されない理由と、今日からできる対策
公開日:/執筆:Big-O Information Intelligence Corp.(大鷗摩飛智能有限公司)
ChatGPTに「〇〇でおすすめのブランドは?」と聞いても、自社の名前が出てこない。EC・D2Cの担当者から、こうした相談を受けることが増えました。原因はひとつではありませんが、多くの場合は「AIが自社の情報を読めていない」か、「読めていても、信頼できる情報として扱えていない」かのどちらかに整理できます。本記事では、生成AIが回答をつくる仕組みを確認したうえで、表示されにくい主な理由と、今日から自社で確認できる対策を順に説明します。
生成AIは、どこから答えを持ってくるのか
ChatGPTをはじめとする生成AIが回答をつくる経路は、大きく分けて2つあります。
ひとつは、モデルが事前に学習した情報です。学習には時期の区切りがあり、どのページが使われたのかを外部から確かめることはできません。
もうひとつは、質問を受けるたびにWebを検索し、ページを読んで答える経路です。ChatGPTの検索機能やPerplexityなどがこれにあたり、AI各社のクローラー(Webページを自動で取得するプログラム)が、その時点で自社サイトを読めるかどうかに左右されます。
企業側がすぐに手を打てるのは主に後者、つまり「AIが読みに来たときに、内容を正しく読める状態になっているか」です。
調査から見えたこと:規模や知名度だけでは決まらない
当社が2026年10月8日に公表した「日本ECブランド AI検索×GX可視性調査2026(第1回)」では、日本のEC・D2Cブランド30社について、ChatGPT・Gemini・Claude・Perplexityの4つの生成AIに計1,200件の質問を行いました。
ブランド名を出さずに業界単位で質問した480件では、名前が挙げられた割合は中堅・小規模ブランドが47%、大手が34%でした。企業規模や知名度だけで、AIに名前が挙がるかどうかが決まるわけではないことがうかがえます。
また、ブランド名を挙げてサステナビリティの取り組みなどを質問した600件のうち、AIが具体的な内容を回答したのは526件(88%)でした。ただし、そのうち90件(17%)では、その企業の公式サイトが情報源として引用されていませんでした。公式サイトに情報を載せていても、AIがそれを使っているとは限りません。
出典:調査のプレスリリース(ValuePress)/調査結果ページ。AIの回答は質問方法や時期によって変わります。数値は調査期間(2026年9月5日〜6日)時点の観測結果であり、各ブランドの評価・優劣を示すものではありません。
表示されにくい主な理由5つ
1. AIのクローラーがサイトを読めない
robots.txtでAIのクローラーを拒否している、CDNやセキュリティ設定がボットを一律に遮断している、本文がJavaScriptを実行しないと表示されない、ログインしないと商品情報が見えない――こうした状態では、AIは中身を取得できません。主なクローラーには、OpenAIのGPTBot(学習用)とOAI-SearchBot(検索用)、AnthropicのClaudeBot、PerplexityのPerplexityBotなどがあります。
2. 「何の会社か」が文章で書かれていない
トップページがイメージ画像とキャッチコピーだけで構成されていると、人には雰囲気が伝わっても、AIには「誰に、何を、どこで提供している会社か」が読み取れません。画像の中の文字は、テキストとして扱われないことがあります。
3. 会社情報の表記が場所によって違う
社名の表記(全角・半角、英語名、旧社名)、所在地、電話番号、事業内容が、公式サイトの各ページや外部サイトで食い違っていると、AIは同じ会社の情報だと判断しにくくなります。ローカル検索の分野でNAP(Name・Address・Phone)の統一と呼ばれてきた考え方は、生成AIに正しく理解してもらううえでも基本になります。
4. 外部の情報源が少ない、または古い
AIは公式サイトの自己紹介だけでなく、メディアの記事、業界団体の会員情報、取引先や販売店のページ、レビューなど、複数の情報源を照らし合わせて回答をつくります。外部での言及が少なかったり、古い情報のままだったりすると、名前が挙がりにくくなったり、誤った説明につながったりします。
5. 質問に答えるページがない
ユーザーがAIにするのは「敏感肌でも使える国産の日焼け止めは?」「環境に配慮した包装で、ギフトに使えるお店は?」といった具体的な質問です。対象となる顧客、素材や仕様、価格帯、配送や返品の条件などが本文に書かれていなければ、AIはその質問に対して自社を候補にする根拠を持てません。
今日からできる対策(確認しやすい順)
1. robots.txtを確認する
ブラウザで「https://自社のドメイン/robots.txt」を開き、AIのクローラーに対する設定を確認します。たとえば次のように書かれていれば、GPTBotはサイト全体の取得を拒否されています。
User-agent: GPTBot
Disallow: /許可するかどうかは各社の方針次第です。学習への利用は断り、検索機能からの参照は受けたい場合は、学習用と検索用のクローラーを分けて設定します。名称や役割は変わることがあるため、AI各社の公式ドキュメントで確認してください。
2. 1段落のブランド説明を本文に書く
トップページと会社概要ページに、「誰に・何を・どこで・ほかと何が違うか」を事実だけで書いた1段落を置きます。「こだわりの」「最高品質の」といった形容詞よりも、素材、産地、創業年、取扱商品数など確かめられる事実のほうが、人にとってもAIにとっても読み取りやすい情報です。
3. 会社情報をそろえ、Organizationの構造化データを入れる
社名・所在地・連絡先の表記をサイト内で統一したうえで、schema.orgのOrganization(組織)をJSON-LD形式で記述します。name、url、logo、address、そして公式SNSなど自社を示す外部ページへのリンク(sameAs)が基本です。構造化データは表示を保証するものではありませんが、「このサイトは誰のものか」を機械的に伝える補助になります。
4. よくある質問をFAQとして公開する
問い合わせやレビューで実際に受けている質問を集め、短く具体的に答えたFAQページをつくります。FAQPageの構造化データを使う場合は、ページに表示している質問と回答だけを記述し、本文と食い違わないようにします。
5. 外部の自社情報を最新にする
過去のプレスリリース、業界団体や自治体の掲載情報、取引先・販売店のページ、ECモールの店舗紹介などを見直し、社名・事業内容・URLが公式サイトと一致しているかを確認します。古い情報の修正を依頼するだけでも、AIが参照する情報の食い違いを減らせます。
6. 表示速度と、HTMLに本文があるかを確認する
表示が極端に遅いページや、JavaScriptを実行しないと本文が空になるページは、クローラーが内容を取得しきれないことがあります。「ページのソースを表示」で、商品名や説明文がHTMLに含まれているかを確かめてください。
補足:llms.txtについて
AI向けにサイトの概要と主要ページをまとめたテキストファイル「llms.txt」を置く動きも出てきています。ただし、これは提案段階の新しい慣習で、標準化された仕様ではなく、AI各社が読むことを保証するものでもありません。用意する場合は、上記の対策を済ませたうえでの補助と考えるのが現実的です。
避けたいこと
見えない隠しテキストを入れる、事実でない実績を書く、AI向けと人向けで異なる内容を表示する、といった手法は避けてください。信頼を損なうだけでなく、誤った情報が自社の説明として広まる原因にもなります。
効果の確かめ方
生成AIの回答は、同じ質問でも日や聞き方によって変わります。1回の結果で判断せず、顧客がしそうな質問をいくつか決めて、複数のAIで定期的に確認してください。反映までの期間はAIや経路によって異なり、企業側が決めることはできません。本記事の対策は、生成AIでの表示や推薦、検索順位を保証するものではありません。
よくある質問
- Q. ChatGPTに自社を必ず表示させる方法はありますか?
- A. ありません。生成AIの回答は質問の仕方や時期、AIごとの仕組みによって変わり、企業側が表示を保証することはできません。できるのは、AIのクローラーが自社サイトを読める状態にし、会社情報や商品情報を事実にもとづいてわかりやすく公開して、正しく読み取られる可能性を高めることです。
- Q. robots.txtでGPTBotを許可すれば、すぐに表示されますか?
- A. すぐに表示されるとは限りません。許可はAIがページを取得するための前提条件であり、取得した情報が回答に使われるかどうかは別の問題です。学習データにいつ反映されるかも公表されていません。
- Q. llms.txtは必ず用意すべきですか?
- A. 必須ではありません。llms.txtは提案段階の新しい慣習で、標準化された仕様ではなく、AI各社が読むことも保証されていません。まずはクローラーのアクセス、本文の会社情報、構造化データといった基本を整えることを優先してください。
まずは、自社サイトがAIに読める状態かを確認する
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